連続第14回 UFO

 あれから東京でお兄ちゃんどうしてるんだろう?中畑のおじさんが心配してたけど、やっぱり母さんはお兄ちゃんに東京にいてほしいって頼んでるのかな。螢、覚えてるよ。東京にいたとき、お兄ちゃんと自転車で遊んだこと。公園で自転車の二人乗りしたね。螢は後ろの荷台に立ったり危ないこともしたね。お兄ちゃんに水をかけたら、自転車から落ちて転んじゃったけどね。犬も飼ってたよね。
 自転車っていえば、もう一つ思い出したことがあるよ。東京にいる頃、お兄ちゃんが自転車を欲しがってたから、父さんが近所のゴミ捨て場で自転車を拾ってきたんだよね。お兄ちゃんはイヤがってるし母さんも汚いわーそんなのって言ってたけど、父さんは捨ててあったんだからかまわないって。その自転車を父さんが修理して使えるようにしたんだよね。お兄ちゃんはその自転車乗ってたんだけど。ある夜、おまわりさんが来てあの自転車の話をしてた。母さんは謝ってたけど、父さんは納得がいかなかったみたい。結局、母さんがお兄ちゃんに新しい五段ギヤ付きの自転車を買ったんだ。お兄ちゃんはあのことどう思ってるのかな?螢はあのときの父さんの気持ちが分かるよ。富良野では物がなくても何とか工夫して暮らしてきたよね。父さんは水道も電気も自分で作っちゃったしね。
 お兄ちゃんが富良野に帰ってきた。お兄ちゃんが東京に行ってる間、螢と父さんはUFOを見たんだよ。お兄ちゃんはバカかって言ってたけど、本当に見たんだもん。本当に空飛んでたんだよ。ジグザグに飛んでたんだよ。色も最初は青になってそれからオレンジ色になって。
 お兄ちゃんが正吉君と星の勉強に行くって言うから螢も行くって言ったんだ。お兄ちゃんと正吉君が走って行っちゃったから螢も追いかけたんだ。ずるいよ、待って。かけっこなら負けないんだ。3人でしばらく走っていったら、遠くの方にUFOが見えたんだ。3人でUFOの見えるベベルイの方に走って行ったらオレンジ色に光るUFOを見たんだ。UFOがいなくなったら誰か来るから急いで隠れたんだ。そしたら凉子先生が歩いてたんだ。三百六十五歩のマーチ唄ってた。凉子先生、宇宙人と親しいのかな?この日の夜のことは3人の秘密にしたんだ。

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