そらちさんからの投稿です。
【東京ロケ地シリーズ第33弾〜五郎のGS・こごみの団地】
登場人物の会話で出てくる場所のご紹介です。
連続ドラマ第18回「いかだ下り」では五郎とこごみの出会いが描かれています。返せ!北方領土号が転覆し、駒草号に救助された五郎は、こごみと船上でこんな会話を交わします。

こごみ「はじめて?」
五郎「何が」
こごみ「いかだ下り」
五郎「うン」
こごみ「・・・」
五郎「去年の夏はいなかったンだ」
間。
こごみ「こっちの人じゃないの」
五郎「生まれはこっちだよ。ずっと東京に出ていてね」
こごみ「私もそうよ」
五郎「(見る)」
こごみ「東京にいたわ」
五郎「ア本当」
こごみ「五年近く」
五郎「東京はどこに住んでたの」
こごみ「最初阿佐ヶ谷。それから新大久保」
五郎「新大久保?」
こごみ「うン」
五郎。
・・こごみを見る。
こごみ「?」
五郎「どこいら」
こごみ「明治通りのほう」
五郎「交差点越える?」
こごみ「越える」
五郎「それで」
こごみ「まっすぐ行って・・牛込のほうに。・・詳しい?あすこら」
五郎「そのすぐ近くにつとめてた」
こごみ「どこ!」
五郎「明治通りを左に行って、あの高田馬場の方、その曲がったすぐ右側」
こごみ「すぐそば」
五郎「牛込のほういくと団地があるだろう」
こごみ「そこよ!」
五郎「左側の」
こごみ「そこに住んでたの。友だちの部屋に。居候」
五郎「本当!」
こごみ「うわァ」
間。
五郎「知らないかな、スタンド。ガソリンスタンド」
こごみ「(首かしげる)わかンない」
五郎「そこにつとめてたンだ」
こごみ「アハ本当!」
五郎「本当かい」
(倉本聰著『北の国から・後編』(理論社)より抜粋(映像に合わせて微修正))
この会話、全てフィクションだろうと思っていましたが、実は二人が話す場所を調べてみると、今の現地と一致しているんです。以下検証いたします。
1️⃣新大久保にある明治通りの交差点
新大久保駅から大久保通りを東に700メートルほど行くと、明治通りと交差する大久保二丁目交差点があります(新宿区大久保2-6-1付近)。

2️⃣明治通りを左に行って右側のガソリンスタンド
1️⃣の交差点で明治通りを左折し、高田馬場の方向に300メートル程行った右側に出光のガソリンスタンドがあります(出光アクア新宿SS(新宿区大久保2-3-4))。ここが五郎の勤め先であったと思われます。

3️⃣まっすぐ牛込の方に行った左側の団地
1️⃣の交差点を直進し、牛込の方向に500メートル程行った左側には都営戸山ハイツの団地群があります(新宿区戸山2-10付近)。こごみが居候していた団地はここのようです。余談ながらこの団地に隣接する戸山公園は’92巣立ちのロケ地でもあります(当シリーズ第2弾ほか)。

「ドラマという大きな嘘の中、小さな嘘はつかない」
こんなちょっとした会話にも現実を入れ込んでしまうという所作。こうしたところにも、リアリズムに徹する倉本脚本の真髄を見る気がいたします。
ところで連ドラ第3回「決意」では、スタンドで五郎が同僚から男には子育ては無理だと嫌味を言われる回想シーンが出てきます。実はあのシーンのスタンドも出光てす。
2️⃣のスタンドと符合することに気づき、マニア根性がうずいた私は、自家用車の給油のついでに突撃取材を敢行いたしました(どっちがついでか判りませんが💦)。
幸いにも社長さんがお見えでお話を伺ったところ「20年前に経営が変わっているので、残念ながら 1980年当時ロケがあったかどうかは判りません。ただ、当時も出光のスタンドだったのは確かで、ここがビル化されたのは平成2年頃なので、ドラマが平地のスタンドだったなら合ってますよ。ここで撮影したのかもしれませんね!」とのことでした。
お忙しい中お話を聞かせていただき、また画像等の掲載についてもご快諾いただき、社長さんに感謝申し上げます。
以上、登場人物の会話に出てくる設定上の場所が実在すること、そして、その中のスタンドがロケ地だったかもしれないことのご紹介でした。
いつもながら、マニアックな話へのお付き合い、ありがとうございました😅
東京ロケ地のページに上記1️⃣2️⃣3️⃣の位置情報を掲載しています。
https://kitanokunikara.blog/loca-tokyo/
位置関係を整理すると下の地図のようになるそうです。
