連続第4回 女弁護士

 夜がだんだん寒くなってきたよ。お兄ちゃんは父さんに何とかしてって言ってたけど、父さんはお兄ちゃんに何とかしてほしいみたい。お兄ちゃんは草太兄ちゃんにも頼んでたけどね。お兄ちゃんが辰巳さんの家にテレビを見に行っちゃったから、螢は一人でがんばって壁にビニールを貼ったんだよ。そしたら父さんが帰ってきて手伝ってくれたんだ。その後、お兄ちゃんが帰ってきて父さんにあやまってたけどね。
 その晩、父さんはくんせいを取り出したんだ。螢もお兄ちゃんも上手にくんせいを作れるようになったよ。お兄ちゃんも言ってたけど、土曜日の夜は草太兄ちゃんがよく家に遊びに来るんだ。雪子おばさんがお風呂に入ってるからなんだよ。草太兄ちゃん、お風呂のぞいてなんかいないよね?
 学校では凉子先生と生産調整の勉強をしたよ。畑にいっぱい野菜が捨ててあるから、父さんは人参もおじゃがも拾ってきちゃうんだ。正吉君は拾っちゃダメって言ってたけどね。螢、なんで拾っちゃダメなのかよくわからないんだ。学校が終わってお兄ちゃんと家に帰る途中、知らないおばさんが話しかけてきたんだ。螢、イヤだったからお兄ちゃんに早く行こうって言ったのに。母さんの手紙をお兄ちゃんに渡そうとしたんだけど、走って逃げてきちゃった。お兄ちゃんは母さんの手紙を父さんが隠してることに気づいてこだわってるみたい。弁護士のおばさんに会いにホテルに行こうってお兄ちゃんは言ってたけど、螢は行きたくないよ。
 夜はまた草太兄ちゃんが家にご飯を食べにきたよ。お兄ちゃんは手紙のことを雪子おばさんに聞いてたけど、螢はだまってたんだ。草太兄ちゃんは父さんが手紙を握りつぶすなんてそんなちっぽけなことする人じゃないよって言ってた。そんな話をしてたら父さんが帰ってきたんだ。母さんの手紙をみせて返事を書きなさいって。父さんは手紙のことを隠してたみたい。父さんが勝手に手紙を焼いちゃったって言ってた。父さんはお兄ちゃんに軽蔑していいって言ってたけど、螢は父さんの見方だからね。ホントは母さんに会いたいけど我慢するね。螢も父さんと同じで東京での怖かった夜のこと思い出したんだ。
 次の日、お兄ちゃんは弁護士のおばさんに会いにホテルに行ったんだ。螢はイヤで行かなかったから、お兄ちゃんは頭にきてたみたい。その日のことはお兄ちゃんは何も言ってなかったし螢も聞かなかったんだ。ルールルルルル、ルールルルルル。夜になったらキツネが来たよ。

←連続第3回 決意  連続第5回 キツネ→