連続第8回 水道

 父さんが森に入って何してたかやっとわかった。沢から水を引くんだって。できたらすごいね。螢もがんばってお手伝いするよ。中畑のおじさんや熊さん、中川のおじさんも手伝ってくれたよ。パイプをつなげたり、凍っているところを探してるみたい。螢とお兄ちゃんは早く水が出ないかなって待ってたんだ。そしたらお兄ちゃん、年賀状を出してくるって出かけちゃった。
 夜になったら父さんは麓郷に飲みに行っちゃった。水が出なくて父さんひどくがっかりしてた。パイプが折れてるらしいけど場所が見つからないみたい。お兄ちゃんはテレビを見に行きたいみたいだけど、父さん一人だから手伝わなくっちゃかわいそうでしょ。紅白見に行きたいって言ってたけど、父さんには頼まないほうがいいんじゃない。
 翌朝は早くから父さんは森へ行ったよ。父さんはパイプの凍ったところをどうしても今日中に見つけたいみたい。そしたらお兄ちゃんが走ってきて、父さんが場所発見して溶かしたって。今からためすから見てろって。2人で準備して待ってたら凉子先生も来たよ。凉子先生も一緒に待ってくれたんだ。来ないね。しばれたとこ別にもあるのかな。来ませんねー。父さんのところに行こうとしたら凉子先生が呼び止めたんだ。そしたら水が少しずつ出始めてから一気に流れてきたよ!やったぁー!やったぁー!父さん、水が出たよ!水が出たよ!
 水が出たら螢はさっそくお米を研いだよ。父さんとお兄ちゃんはお風呂に水を入れて、凉子先生もお料理してくれたんだ。夜になって凉子先生を学校に送っていく途中、父さんは螢とお兄ちゃんを正吉君の家に降ろしてくれた。紅白を観せてもらいに来たんだけど、正吉君とお母さんがふざけていて中に入らなかったんだ。正吉君とお母さん、楽しそうだった・・・。螢とお兄ちゃんは母さんに会えないから・・・。
 家に帰ってきたら父さんがいたんだ。富良野の町の灯を見せに連れて行ってくれるって。やったー!高台に着いたら父さん言ってた。2人のがんばりに感謝するって。それとお兄ちゃんに丁寧な言葉で話すのやめるって。3人で「さよーならー1980年!」って町に向かってどなったよ。
 家に戻ると雪子おばさんが帰ってきてたんだ。やったー。お土産もたくさん買ってきてくれたよ。うれしかったー。

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