連続第5回 キツネ

 冬になったら父さんは山作業に入ることになったんだよ。正吉君のおじいちゃんも一緒に働くんだって。正吉君のおじいちゃんはへなまずるくて有名なんだって、お兄ちゃんが言ってた。
 夜になったら父さんとキツネにエサをあげるよ。ルールルルルルと呼ぶとこっちに来るよ。かわいいんだー。
 学校では算数のテストがあったよ。螢、算数はあんまり得意じゃないんだ。正吉君も得意じゃないみたいでお兄ちゃんにやり方きいてたよ。お兄ちゃんはやり直して100点っていうのに納得いかないみたい。螢も100点とったんだよ!お兄ちゃんは怒って勉強する気がわかないって言ってたけど、螢は勉強する気わくもん!
 お兄ちゃんは雪子おばさんと町へ行ったんだ。買い物をして草太兄ちゃんのボクシングの練習を見に行くんだって。螢は行きたくないから行かなかったけどね。夜になったら2人が帰ってきたよ。帽子と手袋を買ってきてくれたんだ。ありがとう、雪子おばさん。
 父さんが帰ってきたら、がんびきが片づけてないってお兄ちゃんのこと怒ってた。本当は雪子おばさんが片づけてなかったんだけど・・・。お兄ちゃんは父さんに嫌われてるって気にしてるみたい。
 螢が悲しくて泣いちゃった晩のことをお話しするね。その日は、辰巳のおじさん、熊さん、草太兄ちゃんが来て楽しくお酒を飲んでたんだ。歌まで歌って楽しかったんだけど、みんなで正吉君のおじいちゃんの話をしてたんだ。つららさんも来ててお兄ちゃんが何度か外に出てたよ。そのうちお兄ちゃんが外に出ていなくなっちゃった。父さんとお兄ちゃんを呼びに行ったら、お兄ちゃんはキツネに石を投げたんだよ。やだー!お兄ちゃんやめて!やめて!螢、悲しくてたくさん泣いちゃったんだよ。
 お兄ちゃんは草太兄ちゃんと一緒に帰ってきたよ。父さんは酔っ払ってもうダメみたい。父さんあれからお兄ちゃんのことで雪子おばさんに叱られたんだよ。父さん言ってたよ、お兄ちゃんのこと好きだって。螢、お兄ちゃんのこと怒ってないよ。大丈夫、キツネきっとまた来るよ。ルールルルルル、ルールルルルル・・・。

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