「ドラマへの遺言」倉本聰 碓井広義/新潮新書

「ドラマへの遺言」は倉本聰先生の愛弟子である碓井広義さんが、倉本先生のドラマやテレビへの思いについて聞き取りまとめたものとなっています。

 


《目次》
まえがきに代えて 倉本聰
はじめに 碓井広義

第1章 常に怒りのパッションをもっていないと
第2章 原点から学ぶってことが必要
第3章 10年ぐらいの修行を経ないと絶対続かない
第4章 歴史というのは地続きだ
第5章 利害関係のあるやつばっかりと付き合うな
第6章 頭の上がらない存在はいた方がいい
第7章 都会で競ってる知識なんてなんの役にも立たない
第8章 「棄民の時代」から目を背けない
第9章 何かを想像するというのは命懸け
第10章 夢の鍵を忘れるな
第11章 店に入ったら壁を背にして座る
第12章 あえて重いテーマをずばりと掘り下げる
第13章 美には利害関係があってはならない
第14章 “これが最後”という覚悟がいい仕事を生む
第15章 神さまが書かせてくれている間は書き続ける

おわりに 碓井広義
倉本聰 主要作品略年表


 

特に『北の国から』関連で印象に残った言葉を紹介します。

『前略おふくろ様』が残したものについて、萩原健一さんのこと・インナーボイスのこと・ナレーション録りについて話された最後に一言。

「だから『北の国から』は『前略』の亜流です」※P117より引用

 

『北の国から』のヒロインが決まったときのことも話されています。ヒロイン4人の興味深い話です。

「横山めぐみはオーディションなんですよ。 ~中略~ ファッションモデルのプロダクションが最近スカウトした女の子がいるっていうんです。全くの素人です。その子が高校生で、いま学園祭に行ってると。それで30分遅れで入ってきたんですが、見た途端に“これだ!”って。奇跡みたいに決まりましたね。」※P144より引用

「逆に宮沢りえはね、反対したんです。あの頃、貴花田との婚約騒動とかすごかったでしょう?それにスター過ぎるんですよ。『北の国から』には合わないと思ったんですが、杉田(成道)が猛烈に押して、やってみたら非常に良かった」※P144より引用

「実は裕木奈江も知らなくて、杉田のキャスティングなんです。『遺言』の内田有紀は僕が押して決めました」※P145より引用

 

老いを隠さない名女優たち。『優しい時間』の話題から出た言葉。

「しのぶはうまいですからねぇ。僕の〈うまい女優ベスト3〉です。倍賞千恵子さんといしだあゆみちゃん、そしてしのぶ。まあ、八千草薫さんという別格がいますけどね。あの3人はやっぱりちょっとたまらない演技をするなあ」※P193より引用

大竹しのぶさんといしだあゆみさんは『北の国から』他いくつかの倉本作品に、倍賞千恵子さんは『失われた時の流れを』『あにき』『駅STATION』に出演しています。八千草薫さんは『前略おふくろ様』をはじめ多くの倉本作品に出演していますが、『北の国から』に出演していないのが私の中での『北の国から』七不思議の1つです(;’∀’)

 

我々視聴者の感想とはちょっと違った倉本先生自身による作品の採点も!

「『拝啓、父上様』は自己採点すると60点くらいかな。辛くはないですよ。『祇園囃子』は90点超えてると思う。『北の国から』で80点台かなあ。『前略おふくろ様』は90点台ですね。役者がみんな優れてたし、僕も毎回しっかりホン読みに出てましたから。」※P211より引用

 

「ドラマへの遺言」の内容を少しだけですが紹介させていただきました。興味のある方はぜひ読んでみてください。

 

【関連ブログ】

『北の国から1900』黒板一家のルーツは徳島藩だった!
https://kitanokunikara.blog/2025/03/28/kitanokunikara1900/

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