
1999年、NHK衛星ドラマ劇場で放送されたドラマ「玩具(おもちゃ)の神様」を観てきました。このドラマはDVD化されず動画配信もされていないので、神奈川県横浜市にある放送ライブラリーに行ってきました。
倉本先生のエッセイをお読みの方はご存じかと思いますが、倉本先生の偽物が温泉旅館を転々とし詐欺行為を働いていたという実話が元になっているドラマです。このエピソードは様々なところで倉本先生が話されていて、大滝秀治さん主演のドラマ「うちのホンカン」でも旅館に滞在していた偽者の作家(笠智衆さん)の話が書かれています。
「玩具(おもちゃ)の神様」は、脚本家の二谷(舘ひろしさん)、偽者のニタニ(中井貴一さん)、風俗嬢のオモチャ(永作博美さん)の3人を軸にストーリーが展開していきます。
原稿が遅れがちで書きたいことが書けずに悩んでいる脚本家の二谷勉(舘ひろしさん)

二谷の名前を語って詐欺を働く偽者のニタニ(中井貴一さん)

偽者のニタニが滞在する旅館で出会うイメクラ風俗嬢のオモチャ(永作博美さん)

内容からしてコメディタッチで描かれていると思っていましたが、「やすらぎの郷」と同じく倉本先生のテレビ業界への思いが色濃く描かれているドラマでした。ドラマの低レベル化や視聴率至上主義を嘆いている二谷のナレーションは倉本先生の思いを代弁しているようでした。脚本家の苦労や苦悩が主人公の二谷を通して描かれていました。
一方、偽者のニタニは詐欺師でありながら、理想を追求する脚本家のように見えました。ニタニの「美に利害関係があってはならない」という台詞、ニタニが色紙に書くサイン「創るということは遊ぶということ創るということは狂うということ」からそう感じました。この言葉は倉本先生ファンの方ならご存じかと思います。
最終回でニタニが二谷に会うシーンがあります。ニタニが二谷に「申し訳ありません」と謝るも、二谷が「お会いしたかった」と握手するシーンがとても印象に残りました。本物の脚本家と偽物の詐欺師と立場は違いながらも、「きれいな心が洗われるドラマ」を書きたい・観たいという気持ちがそうさせているのだと思いました。
北の国から出演者では、坂本長利さん・石丸謙二郎さん・佐々木勝彦さん・美保純さん・山田明郷さん、富良野塾出身者では、水津聡さん・納谷真大さん・高橋史子さん・久保隆徳さん・森上千絵さんが出演されています。
あらすじ
◆第一回。脚本家の二谷勉(舘ひろし)は悩んでいた。現在書いているテレビドラマは高視聴率なのだが、本当に書きたいことが書けず、原稿が遅れているのだ。プロデューサーの落石(根津甚八)から急かされているというのに運悪くトイレに閉じ込められ、訪ねてきた青森県警の水沢刑事(佐藤B作)に救出される。水沢は、二谷の名を騙り詐欺行脚するニセ者の捜査で訪れたと言う。その頃、ニセ者・ニタニ(中井貴一)は逗留中の旅館で、脚本家を目指すイメクラ風俗嬢の“オモチャ”(永作博美)という女と意気投合していた。
◆第二回。本物の二谷(舘ひろし)は、妻・桃子(かたせ梨乃)の不倫疑惑が写真週刊誌に載り、ますます筆が進まない。一方、ニセ者・ニタニ(中井貴一)は新潟で“オモチャ”(永作博美)のいる店を訪れ、彼女の脚本を読む。そしてオモチャから弟子入りを志願され、一緒に旅を始める。ある日、二谷の師・黒岩(坂本長利)が倒れる。二谷は見舞いに行くが、黒岩はテレビドラマへの遺言とも言える言葉を残し、帰らぬ人となる。そんな折り、二谷のもとに原稿が届く。ニタニがオモチャの書いた原稿を送ってきたのだ。
◆最終回。本物の二谷(舘ひろし)は姿を消し、プロデューサーの落石(根津甚八)ではなく、アシスタントの仲原(梨本謙次郎)あてに原稿を届けるようになる。その頃、ニセ者・ニタニ(中井貴一)は“オモチャ”(永作博美)を本気で愛し始めたことで、全てが悪い方向に向かっていた。実家に帰ったオモチャは、警察からの連絡でニタニの正体を知る。ある日、ニタニはオモチャに会いに行き、彼女の書いた「玩具の神様」というシナリオを読む。
※「放送ライブラリー」ホームページより引用
【関連ページ】
玩具の神様
https://kitanokunikara.blog/omochanokamisama/
視聴メモ
https://kitanokunikara.blog/drama-movie-memo/
【参考サイト】
NHKアーカイブス 玩具(おもちゃ)の神様
https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0009040344_00000
放送ライブラリー
https://www.bpcj.or.jp/


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