
「前略おふくろ様」は「北の国から」と並び倉本作品の代表作として紹介されているドラマです。第1シリーズと第2シリーズ、遅ればせながらすべて見終わりました。
主人公の三郎のモノローグ、「~なわけで」「~と思われ」「そんなことは全然知らなかった」「ショックだった」「あ、いやしかし」「あたァ」・・・北の国からの純にもつながっている言い回しです。
他にも共通することは多々あるのですが、特に印象に残った第2シリーズの第22回〜第23回を紹介させていただきます。

まずは第22回のラストシーン。三郎(萩原健一さん)と半妻さん(室田日出男さん)が酒に酔って気分よく三郎のアパートに帰ってきます。玄関にはアパート管理人(木田三千雄さん)からのメモ、おふくろ様が亡くなったと…。メモがアップで映され、我々視聴者は気づくのですが、三郎と半妻さんは上機嫌で酔ったまま。メモに気づく半妻さんの表情が一気に変わる、三郎はメモを見ても苦笑いというかよく理解できていないような表情…。北の国から連続第22回、駒草で令子の訃報を聞いた時の五郎の表情もそうですが、状況をよく理解できていない人間の表情のリアルを感じました。
第23回は舞台が三郎の故郷の山形。おふくろ様からの手紙、スキー場のロッジで働く回想シーンから始まります。
おふくろ様の葬儀、親戚の中から本家の岡野次郎兵衛(大滝秀治さん)とその娘の海ちゃん(桃井かおりさん)の悪口が聞こえる。ゴキブリ亭主と酷い言われようだった五郎と同じように…。
おふくろ様の遺言が見つかり、通夜の料理は専門家の三郎に作らせなさいとのこと。三郎は海ちゃんと買い出しに行き、親戚の女性たちを指図して料理を作ります。

「生まれて初めてみんなを指図して花板をやりました。」
「前略おふくろ様、花板をやっています。」
ここのナレーションシーン、とても感動しました。グッときました。
三郎が一人前の花板として料理を作る姿、おふくろ様はさぞ見たかっただろうと思います。長い間、秀次さん(梅宮辰夫さん)のもとで修行をしてきた三郎。その成果を発揮する場がおふくろ様の通夜になるとは…涙が出てきます。

物語の終盤、おふくろ様の遺影の前で泣く三郎…。これまで涙一つ見せなかった三郎ですが、1人になり悲しみを抑えきれず号泣する三郎…。

そして最後、勝手口にあるおふくろ様が履いていた長靴のカット。
雪が降り、おふくろ様の足跡が消える…。悲しみの余韻が残る、悲哀の感情に揺さぶられるラストシーンでした。
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