

日本史上最悪の熊害と言われる三毛別羆事件を題材にした小説です。以前から気にはなっていたのですが、遅ればせながら読み終わりました。
まずは、人間は羆の前では無力な生き物であると改めて感じました。羆の恐ろしさをまざまざと見せつけられるような内容でした。特に人間が羆に襲われた場面の描写は想像するだけで身の毛がよだつような思いでした。作者の表現力の高さが恐怖心をより一層増幅させているような気もしました。
倉本先生は「羆嵐」の解説で、富良野に移住した最初の晩、手違いで電気が引けてなく闇の一夜を過ごす破目になり恐怖で朝まで眠れなかったと書かれています。
北の国からでも熊に関する描写は何度か出てきますが、「羆嵐」を読んで連続ドラマ第5回の杵次の台詞が頭に浮かびました。
杵次「むかしはずうっと、うっそうたる森じゃった」 純。 純「ここがーですか?」 杵次「うん」 純「ー」 杵次「熊が遊んどった」 純「ーここらで?」 杵次「ああ」 純「ー」 杵次「もともとここらはー熊の土地じゃった」 純「ー」 杵次「人間が来て勝手にー熊を追いだした」 純「ー」 (中略) 杵次「殺生もずいぶんした。ーそうして開いた。ー一反開くのに何年かかったか」 純「ー」 杵次「わしらとー馬とー。そまつな道具と」 純「ー」 杵次「馬はもうおらん」 純「ー」 杵次「トラクターに押されて」 純「ー」 杵次「そうして若いもンはみな土地を捨てる」 純「ー」 杵次「わしらが、殺生して切りひらいた土地をじゃ」 純「ー」 杵次「熊やー木や馬にー。何と申し開く」 純「ー」 杵次 間 杵次「人間は勝手じゃ」 純「ー」 ※「北の国から前編 倉本聰 理論社」より
吉村昭『羆嵐』新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/book/111713/
北海道苫前町ー三毛別羆事件復元地
http://www.town.tomamae.lg.jp/section/shokouroudou/lg6iib0000000ls1.html

